日本という国は、無条件降伏という痛ましい敗戦から
13年で、パリのエッフェル塔を凌ぐ世界一の塔、
東京タワーをつくりあげた。
地上333メートル。
我々日本人は、全世界に、この国の技術の高さを
証明してみせた。
その6年後には、戦後復興の象徴である
東京オリンピックを開催。
これに間に合わように新幹線の開発が進められた。
当時、新幹線は「夢の超特急」といわれ、
時速200キロメートルを超えるスピードは、世界一の
速さを誇った。
終戦からたった19年。
不死鳥のように蘇った日本。
高度経済成長の時代、沸き立つ日本にアンチテーゼを
なげかけるように、小松左京氏が小説「日本沈没」を
世に出したのは、一九七三年、三八年前である。
日本各地で巨大地震が発生し、
日本列島が海面下に沈降していくというストーリー。
同じ年、第4次中東戦争の勃発による石油危機
(石油の価格高騰により、製造の際、石油を必要とする
製品の価格が急激に上がった。)で、インフレが生じ、
高度経済成長も終焉(しゅうえん)を迎えた。
この石油危機を背景に石油に代わる代替エネルギーとして
市民権を得た原子力。
現在、原子力発電は全体の約3割に及ぶ。
この度の地震・津波により放射能漏れを起こした
福島第一原発。事態の早期収束を祈るばかりである。
がんばろう日本。つながろう日本。
幾多の困難にも負けず、蘇ってきた日本。
日本には知恵がある。技術がある。
3月、地震の影響で開通セレモニーは中止になったが、
九州新幹線全線開通。
時速260キロの速さで夢をつないでいる。
12月には世界一のタワー、東京スカイツリーが完成する。
地震・津波、
自然界からアンチテーゼがなげかけられたが、
日本は沈没しない。