三月に入った。年が明けて二ヶ月が過ぎた。一月は行く。
二月は逃げる。あっという間だった。
陰暦で三月は弥生。語源は、「弥」・・・いよいよ。 「生」・・・生い(おい)。
つまり、草木がいよいよ芽吹き始めるということだそうだ。
三月、極寒を耐えた月である。
自然の生命がすべてそうであるように、私たちも芽吹かなければならない。
幕末の志士、吉田松陰の「講孟余話」(こうもうよわ)に、「桃の類は冬の雪に遭えば
枯れてしまうが、松や柏だけは雪の中でも青々としている。
人間の才能もこれと同じである。
世の中には、才能豊かな若者が大勢いるが、艱難辛苦(かんなんしんく)を経るに従って
優れた才能が崩れる者が少なくない。
寒さの中の雪は桃が枯れる原因であり、同時に松や柏が完成する原因である。
同様に、艱難辛苦は、人が挫折する原因であり、同時にその才能を完成させる原因である。
自分は才なき者ではあるが、松や柏に笑われぬようにしなければならない。
我が身を磨き鍛えて立派な人物にならなければならない。」とある。
その吉田松陰が密航しようとしたアメリカの話。(ぺりーの船に乗ろうとした。)
一七歳 マラリアにかかる
一九歳 天然痘(てんねんとう)にかかる
肋膜炎(ろくまくえん) にかかる二五歳 赤痢にかかる
三五歳 再び赤痢にかかる
四五歳 虫歯ですべての歯がなくなる
この人物は、ジョージ・ワシントン。
アメリカ合衆国初代大統領である。
あり得ない数の病魔に襲われながらも野心を捨てなかった男である。
病魔が彼自身を磨き鍛えたのだ。父親が大切にしていた桜の木を切って、
正直に父親に謝罪した話は有名。
三月、極寒を耐え、我が身を鍛えた受験生が才能を開花させる季節。
桜も花ビラを咲かせる準備は完了しているに違いない。
サクラ、サケ