アメリカの1月、第3月曜日は祝日である。
「キング牧師記念日」 キング牧師の誕生を祝う日だ。
後世に語り継がれる演説は1963年、リンカーン記念堂で行われた。
その日は、リンカーンが奴隷解放宣言に署名して100周年の記念の日。
ワシントン記念塔からリンカーン記念堂まで、人種差別撤廃を訴えた
デモが行われた。 参加者は20万人以上に及んだ。
世にいうワシントン大行進である。
参加者の高揚覚めやまぬ中、キング牧師のスピーチが始まる。
「I Have a Dream」
…… 略 …… 私には夢がある。いつの日か、不公平と抑圧という灼熱の炎
にさらされているミシシッピ州でさえ、自由と正義のオアシスへと生まれ変わ
るという夢が。
私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色ではな
く、人格の中身によって評価される国で暮らすという夢が。
今日、私には夢がある!
私には夢がある。…略… 黒人の少年少女が白人の少年少女と兄弟姉妹として
手を取り合うようになるという夢が。
…… 略 ……
そしてその日こそが、その日こそが、神の子たち全員が新しい意味を込めて、
このように歌うことができる。「わが祖国、それは汝のもの。素晴らしき自由
の地よ、汝に私は歌う。わが祖先たちが骨を埋めた大地よ、巡礼者の誇りであ
る大地よ。あらゆる山々から、自由よ、響きわたれ!」
そして、アメリカが偉大な国家となるためには、これを実現せねばならない。
…… 略 ……
これが実現した時、自由の鐘を響かせた時、あらゆる村やあらゆる集落、あら
ゆる州とあらゆる都市から自由の鐘を響かせた時、我々は神の子全員が、そし
て黒人も白人も、ユダヤ教徒もユダヤ教徒以外の人も、プロテスタントもカト
リックも、ともに手をとり合って古い黒人霊歌を歌うことのできる日が来るの
を早めることができる。
「ついに自由になった! ついに自由になった! 全能の神に感謝しよう、我々
はついに自由になったのだ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この演説から5年後の1968年、彼は、白人至上主義者の凶弾に倒れた。
享年39歳だった。