報道機関の宿命であろうか。
NHK大河ドラマ「龍馬伝」の最終回に、こともあろうに今まさに、龍馬が暗殺されようとするその時、
「選挙速報・当選確実」のテロップが流れた。
我々視聴者、いや、少なくとも私自身は興ざめでしかなかった。
十一ヶ月間に渡り放送されてきた全てのシーンは、この最終回に帰結するためのプロローグである。
その最終回のクライマックスもクライマックス、これ以上のシーンはないというまさしくその場面に、何故?
疑問だけが残る。
当然、純粋にそのタイミングで「当確」が判明したのならば、それは仕方のないことだろうが、この選挙があっ
た愛媛県の地元テレビはその40分以上も前に同じ内容の選挙速報を流している。
とすればNHKサイドが意図的に龍馬暗殺シーンを選んで流したのか?
まさか、NHK 内部が看板番組ともいうべき、大河ドラマをストレートにぶち壊すとは考えられない。
怪現象、愛媛県の選挙速報は何故あのタイミングで流れなければならなかったのか。
一体誰が最大の見せ場を台無しにしたのか。
龍馬の出身地、高知・土佐を恨んでいた者。
愛媛が舞台の、司馬遼太郎氏の著書の一部を引用する。
「信さんが十歳になった年の春、藩も秋山家もひっくりかえってしまうという事態がおこった。
明治維新である。
「土佐の兵隊が町にくる」
ということで、藩も藩士も町人もおびえきった。・・・中略・・・・
・・・・・幕末、長州征伐では幕府の命をうけて海を渡り、長州領内で戦った。要するにこの時勢での区分けでは、
佐幕派であった。 おなじ四国でも、土佐は官軍である。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・中略・・・・・・城も市街も領土も、一時は土佐藩が保護領としてあずかるかたちになった。
城下の役所、寺などには、「土州下陣(・・げじん) というはり紙が出された。信さんは十歳の子供ながら、
この光景が終生忘れられぬものになった。
「あれを思うと、こんにちでも腹が立つ」
と、かれは後年、フランスから故郷に出した手紙のなかで洩らしている。・・・・・・・・・・・
信さんとは「秋山 好古(よしふる)」
この引用した著書、「坂の上の雲」の主人公の一人である。
「坂の上の雲」は龍馬伝の後、スペシャルドラマとして放送される。
※土州下陣・・・土州は土佐のことで、土佐の支配下にあるという意味。