春一番が吹き、にわかにこの季節特有の息吹を感じる。
ひと雨ごとに暖かくなる。
春はもうすぐ。
街路樹の桜も、その一枝一枝に生るつぼみ達は、一斉に空を見上げ、
まだ柔らかい日差しを精一杯浴びようとしている。
みんな、咲きたいのだ。
十五の君へ
君は、いっぱい、いっぱいの努力を重ねてきました。
猛暑の夏、寒風吹きすさぶ冬。
ある時は、ひどく叱られた日もありましたね。
けれど、君はくじけなかった。
泣きたい時だって、たくさんあったはずです。
でも、君はそんな姿を見せることはしませんでした。
君はもう知っています。
夢のない人生が無意味で、
夢のある人生が苦痛であるということを。
そして、その苦痛は、おもしろいことだということを。
君はもう知っています。
一瞬の輝きのために、
限りない努力が必要なことを。
そして、その努力はおもしろいことだということを。
君はもう知っています。
お母さんやお父さんが、どんな思いで
君を育ててきたかということを。
そして、その人達から、無償の愛を受けていると
いうことを。
君は、たくさん、たくさんのことを学びました。
十五年かかりましたね。
そんな君が今日、受験を迎えます。
その日を迎えられることに
「おめでとう」
きっと君は咲きます。