近世、江戸期より、庶民にもその風習が浸透した「お月見」。
今宵、観月の夜。九月二四日、福岡の空はくもり。
芭蕉の句を借りるなら、
名月や 曇天日和 さだめなき
といったところだろうか。
ならばよし、先人の風情を味わうことにする。
名月や 池をめぐりて 夜もすがら
松尾 芭蕉
名月を とってくれろと 泣く子かな
小林 一茶
名月や 叩かば散らん 萩の門
名月の こよひに死ぬる 秋の蚊か
正岡 子規
名月や 故郷遠き 影法師
夏目 漱石
自由律の巨人、山頭火はこう詠む
月も 水底に 旅空が ある
そういえば、ZOZOTOWNを運営する前澤友作氏が、
世界初の宇宙船の民間人搭乗者になるらしい。
この宇宙旅行、1週間かけて月と地球を周回飛行
するというもの。38万㎞彼方への旅に出かけるとは、
さすが、時代の寵児である。
この月への旅、風流の軌道からは外れるも、
山頭火風に詠むなら、
月も 金脈に 旅空が ある