松井の説教部屋

    おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり

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沈まぬ太陽

局地的ゲリラ豪雨が多発した今年の梅雨。

その合間に見ることができた部分日食。

残念ながら、皆既日食が見られた地域は少なかったらしい。

月が太陽を隠す神秘。

四六年ぶりの天文ショーに日本中が熱狂した。

日本は古代より太陽信仰の国である。

七世紀、聖徳太子は、隋(中国)の皇帝煬帝に「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。

つつがなきや」の内容で国書を送り、八世紀には日本(日ノ本)の国名を使っていた。

いわずもがな、日本の国旗は日の丸である。

政事(まつりごと)には常に太陽があった。 

太陽信仰の国日本。

そもそも日本の最大神は天照大神(アマテラスオオミカミ)だ。

〈天照大神は高天原(たかまがはら・天上界にあったとされ、神々が生まれ出る場所)を治めていた。〉

二十世紀、政事は軍事と同化し、「神」と「日の丸」の皇国史観のもと、最大国アメリカにさえ宣戦布告を行った。

日本の空爆によるハワイ・真珠湾への奇襲がそれだ。

しかし星条旗のもと、アメリカは二度に及ぶ原爆の投下で日本を無条件降伏へと導き、占領下においた。

「星」に覆い隠された「太陽」。 一九四五年。 昭和二十年八月一五日、終戦。 六四年前のことである。

アメリカはヨーロッパと並ぶ航空機先進国である。

ヨーロッパはエアバス社、アメリカはボーイング社、世界2大航空機会社だ。

特に、ボーイング社のボーイング747は子どもたちの憧れの飛行機だった。

一九八五年(昭和六〇年)八月一二日、その事故は起きた。

午後六時、羽田発大阪行 JAL123便。

お盆の帰省客やビジネスマンを乗せた満員のボーイング747は快適な空の旅をする予定だった。

しかし、群馬県上空で突如操縦不能となり、午後六時五六分、御巣鷹山(おすたかやま)の尾根に無残

にも墜落してしまった。

一瞬にして五二〇名の命が奪われるという航空機事故史上最大の惨事が起きたのだ。

当時日本航空の機体のマークは鶴丸と呼ばれ、日の丸に鶴をかたどったものであった。

この墜落現場は御巣鷹山となっているが、正確には、高天原(たかまがはら)山系である。

        — RISING SUN(風の勲章) —

                     作詞・作曲 浜田省吾

焼け跡の  灰の中から 強く高く 飛びたった
  落ちてゆく 夕日めがけ 西の空を見上げて

  餓えを 枕に 敗北を バネに 
  風向きを 道標に 駆け抜けてきた・・・

  過ぎ去った 昔のことと 子供たちに 何1つ
  伝えずに この国何を 学んできたのだろう・・・
  
  飽和した 都会 集う家は 遠く
  ブラウン管の前でしか 笑わぬ 子供

  老いてゆく 孤独の影に 怯え 明日に目を伏せて
  踊るだけ ビートに委ね バリ・ライトの海で・・・

  何を支えに 何を誇りに 走り続けていこう
  YOU just billibe in money・・・

  焼け跡の 灰の中から 強く 高く 飛びたった
  1945年 打ちのめされ 砕けた心のまま・・・
  1945年 焼け跡から 遠く跳びたった今・・・・

竹取物語の「かぐや姫」は八月の一五夜、天人に迎えられ月に帰った。

先月十一日、月周回衛星「かぐや」は月面に制御落下し、アポロ計画以来最大規模の任務を終えた。

「かぐや」が撮影したハイビジョンカメラによる月面の映像は世界中を感動させた。

宇宙のカメラマン的任務を終え、今ひっそりと月にその身を置いた。

月に二人の「かぐや」。

古代より、日本人にとって、月は風情の対象とされた。

「古今集」「新古今和歌集」などの和歌集には月をテーマにした歌が数多く残されている。

月明かりを頼りに夜を過ごし、月の満ち欠けは暦となった。

月が全く見えない状態を一日と決め、 三日目に肉眼で見える状態になる、これを三日月と呼んだ。

十五日日めには月全部が見える満月となりこれを境に月は元の見えない状態に変化していく。

十五日を境にするわけだから、三十日で1サイクルになる。

三十日で一つ。これが一ヶ月の由来だ。以上が太陰暦の考え方だ。

(だから一日は常に闇夜で、十五日は常に満月となる。日本は江戸時代までこのカレンダーで生活していた。)

太陽により映し出される月。

太陽の存在無くしては見ることのできない月。

「陰と陽」、陰である月が今月二十二日午前、太陽を覆い隠す。

陰が陽と化す。今世紀最大の天文ショー、皆既日食が起こる。

残念ながら、それを見ることができるのは鹿児島県の屋久島~奄美諸島北部だ。

福岡県では部分日食を見ることができる。

部分と言っても、80%以上の太陽が月によって隠されることになるので、見ごたえ十分。

イメージとしては、三日月のような太陽を想像すればよい。

日食は、午前九時三七分に始まり、十時五六分に最大となり、午後十二時一七分に終了する。

夏休みだからと言って昼まで寝ていると天文ビッグショーを見逃すことになる。

規則正しい生活を続けること。

キング・オブ・ポップ、世界のスーパースター、マイケルジャクソンが五〇歳の若さで急死した。

陽が陰と化した。

彼の追悼式でハリウッド女優のブルックシールズは 「空を見て、マイケルが三日月から見てるわ。

私たちもスマイルしなくちゃ。」

今夜、月を見よう。

王と姫、彼らを撮影するカメラマンが見えるはずだ。

マイケルは、ムーンウォークしているに違いない。

世界天文年

「梅雨前線停滞中」、間もなくこの言葉を耳にする時期に入る。

天気予報は一昔前までは、あてにならないものの代名詞だった。

気象衛星の進歩とともに、今や市区町村単位での気象予測が常識となった。

二十世紀後半、東西冷戦の時代、軍事的にも政治的にも経済的にも対立関係にあった米ソ

(アメリカとロシア)は熾烈な宇宙開発の競争を行っていた。

一九六九年アメリカは人類史上初の月面着陸に成功する。

アームストロングを船長とするアポロ十一号がそれだ。

四十年後の今年、アメリカを中心として開発された国際宇宙ステーションにロシアの宇宙船

ソユーズがドッキングした。今月二九日のことである

 
    宇宙ステーションに長期滞在中の若田光一さんのブログより   5月29日

「今日は、国際宇宙ステーション(ISS)計画にとって歴史的な一日となりました。

ロシアのソユーズ宇宙船(19S)がISSのザーリャモジュールに予定通りドッキングし、

ロシアのロマネンコ飛行士、カナダのサースク飛行士、ヨーロッパ宇宙機関のディビュナー

飛行士(ベルギー出身)の3人の宇宙飛行士がISSに到着しました。・・・」
 
 
話を遡れば、近世、一六〇九年イタリアのガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で天体観測を行って、

今年で四百年にあたる。

これを記念して、ユネスコは二〇〇九年を世界天文年と定めた。

近世→近代→現代と人類の科学技術の進歩は凄まじい。  
                 
        
             以下、宇宙飛行士の言葉。

●アメリカの宇宙飛行士、エドガー・ミッチェル

   「うれしかったのは、宇宙には調和があり、目的があり、創造の力があることを感じたときだ。

    悲しかったのは、人間がそれを知りながら、それに反対する行為をしているのに気づいたときだ。」

 
●メキシコのロドルホ・ネリ・ベーラ飛行士

   「宇宙から地球を見ていると、この地球に生まれて死んでいった人々、現在生きている人々、これから

生まれてくる人々を思う。そして、自分はその無数の人間のひとりであると改めて思う。

次に考えるのは、私たちの存在はなにかということであり、短い生を精一杯楽しみ、かつ十分に他と分かち合っ

て生きるにはどうしたらよいか、ということである。」

 
●アメリカの宇宙飛行士ウォーリーシラー

   「宇宙から地球を眺めると、ベトナムの戦火は見えたが、国境は見えなかった。」

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東西冷戦の終末に代表されるベルリンの壁崩壊から二〇年を迎える現在も、ミサイル発射準備にとりかかった

国がある。

2つの前線が張り出したままぶつかり合う現象を停滞前線という。

忌野 清志郎

今月二十一日より始まる裁判員制度。

裁判員制度が適用される事件は地方裁判所で行われる刑事裁判のうち、殺人罪、傷害致死罪、

強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての

裁判である。 司法の場に、ど素人の一般人が強制参加させられる。

一般人のほとんどは労働者だ。その労働者の九九%は中小・零細企業に従事している。

会社にとっても労働者にとっても望まない制度ではないだろうか。

年間で2万人以上の裁判員が誕生することになるのだが、その日当は税金から捻出される。

(日本国の現時点の借金は約九五〇兆円、数秒に数千万円増額している。

この借金、国民1人あたり約七五〇万円にあたる。)

戦前の召集令状は赤色だったが今回の国家からのラブレターは何色で届くのだろうか。

三〇年前、カラフルな衣装とパンクヘアーの忌野清志郎(いまわのきよしろう)をテレビで

見た時の印象は今も忘れない。

現代ファッションの普通を,彼は一九七〇年代に着こなしていたのだ。

現在、男子学生がよくやる頭ボサボサも、間違いなく「清志郎」が元祖だ。

一アーティストでありながら、反戦・反核、国家と闘った人間。 

そして世代を超え多くの人に愛された人間。

彼は、働くおじさん代表であり、国家家への社会批判の代弁者であった。 

戦後、日本のアメリカ占領下からの独立の年に生誕し、今月二日、喉頭(こうとう)がんのため永眠した。

命日となった五月二日は、労働者の祭典「メーデー」と憲法記念日に挟まれているのは必然としか思えない。
 
       
         奇妙な世界     忌野清志郎
  
   普通の暮らしをしている人 忙しく仕事にあけくれて
   家に帰ってテレビをつけると奇妙な世界が始まっていた
  善と悪の区別もない正義をふりかざす戦争ごっこ
   ミサイルがこっちを向いている奇妙な世界が始まっていた
   
     きれいな空を僕は信じてる
     窓を開けると雲が流れてる
  
   普通の暮らしをしている人 家族のために働く人
   明日のために眠る人 夕飯の支度をする人
   読みかけの本を開く人 大事な夢を持ってる人
   大事な人を愛する人 子供の帰りを待つ人
   自分の国しか知らない人 自分の事しかわからない人
  
   奇妙な世界よ消えてくれ 奇妙な世界よ消えてくれ
   奇妙な世界よ消えてくれ 奇妙な世界よ消えてくれ

唯我独尊(ゆいがどくそん)

紀元前5世紀、インドで一人の男子が誕生した。

その子は生まれた途端七歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指して、こう語ったという。

「天上天下唯我独尊」(てんんじょうてんげゆいがどくそん)

この男子、名を、ゴータマ・シッダールタ=仏教の開祖、釈迦の誕生である。

「天上天下唯我独尊」しばしば、誤って解釈される言葉。

かの広辞苑にも「世の中で自分一人だけが優れているとすること。ひとりよがり。」とある。

次の「詩」は小学校国語の教科書全社が採用しているもの。

   「私と小鳥と鈴と」    金子みすず
 

   私が両手をひろげても、

   お空はちっとも飛べないが、

   飛べる小鳥は私のやうに、
 
  地面(じべた)を速くは走れない。

   私がからだをゆすっても、

   きれいな音は出ないけど、

   あの鳴る鈴は私のやうに、

   たくさんな唄は知らないよ。

 
   鈴と、小鳥と、それから私、
 
   みんなちがって、みんないい。
 

明治36年生まれ、26歳の若さで亡くなった天才童謡詩人、

金子みすずの詩だ。
   

「唯我独尊」、この「詩」にその意味を知ることができる。

この世の中で、みんなそれぞれにお互い自分というのは、かけがえのない尊い存在であり、

かけがいのない尊い命である。

お互いの違いを認め、理解し合うことに努めなければならない。
 

「クリスマス」ほどメジャーではない「花まつり」釈迦の誕生日は四月八日。
 
仏教は五三八年、百済(朝鮮半島)より日本に伝えられた。

その朝鮮半島の長距離弾道ミサイル?通信衛星?が日本上空を通過した。

相互理解の難しさを痛感する大ニュースだった。
 
「和をもって尊しとなす」聖徳太子が十七条の憲法を制定したのは六〇四年四月三日。